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結局、クルマを一年間に平均四〇〇時間しか利用しないのである。
自動車の寿命は平均してI〇年であるから、自動車用燃料電池の寿命は四〇〇〇時間あればいいということになる。
いくつかの燃料電池車の市場予測の例を示している。
予測の発表年と予測した機関により、その数値は変化している。
二〇一〇年には数千台から数十万台というところである。
しかし、二〇二〇年になると五万台から五〇〇万台、あるいは世界の自動車販売の五−二五%というから、これは三〇〇万台から一五〇〇万台となり、かなりの規模になることがわかる。
日本の公式の数字は、燃料電池実用化戦略研究会が発表したもので、燃料電池車が二〇一〇年に五万台、二〇二〇年に五〇〇万台普及すると予測されている。
全体として燃料電池の市場規模は以下のようになろう。
燃料電池自動車−五〇〇万台×二〇〇万円=一〇兆円水素供給ステーションー上二五〇〇ヵ所×二億円=七〇〇〇億円定置用燃料電池コージェネレーションー1〇〇〇万キロワット×五〇万円=約五兆円モバイル用電池−1一六億個×二〇〇円九二二〇〇億円水素燃料供給産業‐‐‐‐−石油換算二〇〇万トン×五万円=一〇〇〇億円/年これを単純に合計するとおよそ二(兆円になる。
自動車産業の戦略自動車用の燃料電池の供給に関しては、世界的にグループ化か進行している。
ひとつはB社、D社、フォード社のグループであり、B社の燃料電池を中心にして共同開発を行なっている。
これとは一線を画した形で開発を進めているのが、GM(ゼネラルーモーターズ)とトヨタの提携グループである。
トヨタは八〇〇人もの研究員を投入して、燃料電池の研究開発を行なっているといわれている。
年間一兆四〇〇〇億円の利益(二〇〇三年三月)を上げる会社であるから、かなりの資金を研究開発に投入しているはずであり、その研究開発のテーマのなかで、燃料電池はハイブリッドカーよりも大きなテーマであることは想像に難くない。
そこでは世界最高レベルの研究開発が進展しているはずだが、その内容は厚いベールに覆われている。
日本のアカデミックな研究団体である水素エネルギー協会や関連学会に、自動車会社の燃料電池に関する研究結果が発表されることはほとんどない。
たまに発表が行なわれるが、それは新聞記事に少し付け加えた程度のものであり、技術的な内容は不明であることが多い。
自動車産業の燃料電池に関する研究開発は、一般の世の中に知られることなく密かに進められているのである。
ある日、突然、高性能の燃料電池車が走ることになり、その裏側にある発明や技術革新について、われわれが知るのはかなり先のことになニッサンは二〇〇二年九月二日、ハイブリッド技術でトヨタと提携を発表した。
ニッサンは開発経費を節約して、名を捨て実をとる作戦にでた。
コーン社長の合理的戦略と受け取られている。
ニッサンはすでにハイブリッドカーを発表しているが、どうも実用化はできなかったようだ。
燃料電池車については、ニッサンはB社の製品を購入しているが、トヨタの技術を利用するようになるかもしれない。
トヨタとニッサンという二大ライバルが提携するという非常事態が起きているともいえよう。
さて、自動車産業はどのように変化するのだろうか。
戦略としては燃料電池を自社で開発して自製するか、あるいはB社のような燃料電池専業メーカーから購入するかで大きく異なる。
燃料電池を自製する場合には、自動車に搭載するだけでなく、燃料電池そのものを他の分野に販売するビジネスを発展させることができる。
あるいは燃料電池車はそれ自体が発電所になる可能性がある。
駐車場で燃料電池車を発電所にして、駐車料金を払う代わりに電気代を駐車場から受け取るビジネスーモデルが成立するようになるかもしれない。
燃料電池を購入する自動車メーカーは、車体のデザインや生産方法に特化して、多様なクルマの価値を追求する方向に進むことになるであろう。
この場合には、デザイン重視の自動車メーカーへの変身がありうる。
これはソフトウェア中心あるいは繊維強化プラスチックス(FRP)を利用する軽量化車体の自動車メーカーということになるかもしれない。
づF社は燃料電池部分を大量生産して自動車業界のインテルになるという。
自動車のCPU(頭脳部分)を提供するというわけだ。
そうなると、自動車業界のマイクロソフトになるのはどこだという質問が生じるであろう。
自動車のデザインやソフトウェア中心の研究開発とは何か、このような新しい課題を追求する自動車メーカーが出現することになる。
燃料電池の採用はクルマのデザインの自由度を大きく変える可能性がある。
燃料電池を利用する自動車では、エンジンのような大型の部品がなくなるのでレイアウトが自由になり、自動車の設計法が変化する可能性が話題になっている。
GMは、燃料電池を利用した自動車の設計が自由度を増す例として、すでに述べたようにFAUTOnoヨこというコンセプトモデルを発表している。
車体下部に燃料電池などの駆動部分を格納し、スケートボードのような形にして、車体上部は自由な設計ができるようにする。
こうすると車体の上部のデザインを交換するだけで、多様な車種を展開できる。
ネルギーと未来社会水素エこのような展開は、自動車の設計がこれまでと大きく変化する可能性を示している。
自動車へのITの応用が盛んに行なわれている。
自動車に搭載したITで電子メールができ、カーナビと連動してインターネットが使えるというシステムである。
トヨタのGlBOOk、ホンダのインターナビープレミアークラブ、日産自動車のカーウイングスなどがある。
ITでカーナビの地図と連動して検索ができ、レストランや駐車場を見つけることができる。
実は自動車のOS(オペレーティングーシステム)というのは、このような目にみえる部分ではない。
ハンドル、アクセル、ブレーキ、速度、加速度などの情報から計算して、エンジンや燃料電池の運転条件を決定するコンピューターシステムが自動車のOSである。
このシステムは、エンジン制御やハイブリッドカーの回生ブレーキなどの適切な制御を行なうものである。
パソコンの世界では、OSはマイクロソフト社のウィンドウズが圧倒的な強さを誇っていたが、オープンソース方式と呼ばれるリナックスがじわじわと浸透してきている。
あるいは、日本の携帯電話のOSには、坂村建東大教授が開発したトロンが利用されている。
では自動車のOSはどうなるであろうか。
いまのところ、これは自動車の核心部分として厳重に管理されている。
しかしどの自動車メーカーも、コンピュータのOS部分を自社開発するのは面倒である。
こう見ると、自動車のOSも次第にリナックスあるいは国産OSのトロンのようなオープンなOSを利用して、独自に自社用に改良して利用することになるだろう。
マイクロソフト社は、ウィンドウズというOSだけでなく開発言語ビジュアルC、C十十、ビジュアル・ベーシック、ワード(ワープロソフト)、エクセル(表計算ソフト)、インターネットーエクスプローラ(インターネ。
トーブラウザ)というように、パソコン界でのソフトウェアを独占的に供給している。
しかし、そのソフトウェアは内部が公開されず、ユーザーは内部がブラックボックスのまま使用するという状態になっている。
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